SA様 50歳 女性

ワーキングメモリトレーニングの結果報告

SA様(**年**月生まれ)は、ワーキングメモリトレーニングを**-** の間に行い、完了しました。

トレーニングの結果

SA様のトレーニング結果は、①トレーニング・インデックス、②評価スケールによる行動アセスメント、そして③ラップアップ・セッションで示されたトレーニング効果の3つの側面から説明することが出来ます。

ワーキングメモリ・インデックスとは

ワーキングメモリの容量は、トレーニング期間中に定期的にいくつかのエクササイズの結果をもとに計算され、トレーニング・インデックスとして示されます。ワーキングメモリの改善(インデックスの向上)は、トレーニングの開始時に計算されたインデックス(開始時のインデックス)とトレーニング期間中に得た最高のインデックス(最高インデックス)とを比較することで計算されます。

7-17歳のワーキングメモリトレーニング完了者の平均的な改善は26点ですが、分布は広範で、通常は17-35点の間に位置します。18歳以上のトレーニング完了者の平均的な改善は25点で、通常は17-33点の間に位置します。ここで重要なことは、インデックスはワーキングメモリを測定するためのひとつの手段に過ぎず、日常生活場面で使われるワーキングメモリへの直接的なトレーニング効果に対応するものではないということを念頭においていただくことです。

SA様の開始時のインデックスは70点であり、18歳以上でワーキングメモリにむずかしさのない方よりひくいと考えられます。トレーニング期間中にSA様は、最高インデックスとして89点をマークし、これは、19点の向上となります。これはワーキングメモリトレーニングを受けた他の方と比べて素晴らしい改善であると考えられます。

評価スケールによる行動アセスメント

トレーニング前後でのアンケート調査より、SA様の不注意と多動性・衝動性症状の査定が行われました。その値が小さいほど、症状がより緩やかなことを示します。トレーニング効果を測定する方法の一つは、トレーニング後に記入された行動アセスメントとトレーニング前に記入された行動アセスメントを比較することです。症状減少の程度が大きいほど、トレーニング効果が大きいことを示します。回答の変化に加え、トレーニング効果におけるその他の側面、ラップアップ・セッションで示されたSA様からのトレーニングに対する意見も考慮にいれます。

変化の信頼性を保つために、SA様の症状評価は、ワーキングメモリトレーニングを経験された他の方々の変化と比較します。以下の表は、他の18歳以上の方々と結果をグループレベルで比較して算出されたSA様の症状改善程度を示したものです。

ご本人の評価合計点

SA様よりご送付いただいたトレーニングの評価アンケートを基に、転記、分析致しました。今回、“注意”に関する項目では、「大幅な改善」があったようですね。SA様も事務作業の見直しが出来るようになった、抵抗がなくなった、途中で出来ていなかったことも気付けて、自己嫌悪も無くなり、同時に行なう作業もできるようになったとお話されていたところに通じているのかもしれないですね。“多動性・衝動性”に関する項目では「やや改善」があったようです。ややということでわかりにくいかもしれませんが、ここも気持ちの改善があったというところで、衝動性がやや改善できたのかも知れませんね。

ラップアップ・セッションについて

25日間、集中力が必要なこのトレーニングを行うのは大変なことだったと思います。しかし、トレーニングを通して、意欲的に取り組んでくださいました。トレーニングを終えて、SA様は、ビジネス面では事務作業でのケアレスミスについて、見直しが出来ていなかった部分が、見直しが必ず出来るようになった。抵抗感もなくなり落ち着けるようになったとおっしゃいました。数字の暗記などに関してはまだ判らないとおっしゃっていました。そして、日常生活の面では、家事が乱雑になっていたが、途中で作業を止めて他の作業に移っていたことに気付いたら、気付いたときの自己嫌悪を感じることがなくなり、自覚しながら作業を処理出来るようになったとおっしゃっていました。

SA様に見られた効果は、下記の3つです。

・ビジネス面での事務作業のケアレスミスに気付かずに他の作業に進んでしまう衝動性が改善された。自己嫌悪感が無くなった。見直しが出来るようになった。(衝動性の改善、精神面の改善、行動面の改善)

・衝動性が改善されたことにより、見直しによる事務作業のケアレスミスに気付けるようになった。(注意力の向上)

・家事などの作業途中に他の作業に移っていたことに気付いて、現在の作業や他の作業を続けて行なう場合の現在の作業や次の作業の推論、推測、同時並行処理能力の向上。